FC2ブログ

茅屋雑記帳

ボンクラ主婦きすけの気ままな日記

毒矢

私は男女を問わず私の干支一回り上かその前後くらいの年頃の人が少々苦手である。
今の言い方だと、アラセブあたり、ってことになるかな。
勿論、尊敬の念を抱き、仰ぎ見る方も沢山いらっしゃる。
が、町なかやお店で変に横柄な態度を取ったり、自己中な物言いをする人を見かけると、
ああ、またこの年頃かえ、と思う率が何故か高かった。


先の日曜朝。
買いだめすべくスーパーへ連れてって貰い、入口の置場でカートを引き出していたところ、
正にその年頃と思しき女性が物凄い勢いでガシャンと音を立て左隣の列にカートを返した。
私の動作が不自然にトロいため邪魔くさかったのか、こちらを睨みつつ乱暴に。
幸いぶつかりはしなかったものの、咄嗟に今は亡き左胸(笑)と腕を庇った。
向かいの迎春コーナーで注連飾りを見ていたおっさんが振り向き近寄ると、急に
「大袈裟な奥さんやわ、旦那さまも大変ですねえ」
取り繕うような笑顔で言い、そそくさと去る。

以前ならその背に
「ちっ、やかましわ」
小声で吐き捨てたはず、だが、今はそれもできなかった。
おっさんは、
「あんなおばはんなんぞどこにでもいてる、気にするな」
と言ってくれたけれど。



「大袈裟な奥さんやわ、旦那さまも大変ですねえ」
ほんとうにそうなんだろうな。
刺さった後じわじわと心に隈なく回ってゆく毒矢のような言葉。
旦那さまも大変ですねえ…旦那さまも大変ですねえ…旦那さまも大変ですねえ…
ほんとうにそうなんだろうな。

沈んだ気持ちのまま買い物を終え、帰宅。
こんなことでいちいち落ち込んじまう自分こそ、ほんとうにそうなんだろうな、とも、思った。

PageTop

続・笑い

一日に一度でも声をあげて笑うことができたら、それは幸せの証なんだと思う。

朝ドラの『まんぷく』、今週の展開こそかなり辛いが、いつもすごく助けられている。
人々の誰もかれもがいきいきしていて、キャスト選びの上手さが光る。
どうか全ての登場人物が幸せになってほしい、毎朝そんなことまで願ってしまう。

PageTop

ある晩の献立

梅ごはんを炊いたところ、意外にも伜から好評を得た。
奴も食の好みが段々おっさん臭くなってきたのかな(笑)。
まあ普段ガッツリ系のもんばっか食べてるみたいなんで、たまには、な感想であろう。
ということで、何かを見て書いたメモをもとに自分で実際に作ったものの覚え書き。



梅ごはん

材料
米 2合
梅干し 中粒4個(家で使ったのは減塩でない昔っぽいもの)
出汁 300ccくらい(冷ましておく)
みりん 大さじ2
塩 小さじ3/4(食卓塩でないもの…家のは“はっ、かっ、た、の塩っ!”だったw) 
醤油 ほーんの少し、持帰り寿司に付いてくるちっさな魚の入れ物の半分くらい

1. 米は研いでから30~60分ほど水に浸け、ざるに上げて水気をしっかり切っておく。
2. 炊飯器に1を入れ、先にみりんを加えてから次に出汁を2合の目盛まで注ぐ。
  多ければ余しておき、足りなければ水を加える(余った場合はおひたし等に使える)。
3. 続けて塩・醤油を入れ、塩を溶かすように軽く混ぜ、梅干しをのせてスイッチオン。
4. 炊き上がったら梅干しの種を除き、しゃもじで果肉を潰しながら全体にさっくり混ぜる。



この日は質素ながら他に、
・鯵の開き・大根おろしとすだち
・ひりょうずの含め煮にオクラをそえたのん
・なめこと葱の味噌汁
を用意していたのだが、おっさんに急用が出来て外食との連絡がすまなさそうに入り、
「あれまあ…」
ちょっと脱力。
冷蔵庫に入れておき、チンするなり温め直すなりすれば翌日でも何とかなるとは言え、
やはり美味しくはない。
一応あの男に訊いてみたろか、と伜にメールしたところ、
「結構な雨やし誰かと外で食うのもめんどくさいよって家でごろんとする」
という返信、結果、食卓に出した品はめでたくきれいに無くなった。

相変わらず私の食は細いまま。
梅ごはんは軽く一碗が精々、殆ど伜が食べたし(全然太ってもいねぇのにまぁよう食うわ)、
鯵も半分方手伝ってもらった。
それでも、拵えた食事を褒められると心が明るむ。
少し元気の出た晩であった。

PageTop

笑い

今日は消化器科のほうの診察日だった。
もう何年もお世話になっているが、温和で面倒見のいい先生。
入院時も毎日度々様子を見に来て下さるし、有難いことである。

血液検査の結果と照らし合わせ
「ああやっぱり乳腺外科の抗ホルモン剤の影響が出てるかなあ」
数値が軒並み悪かった。
「どういうわけか食欲もなくて…ムンクの『叫び』みたいな顔つきになってきました」
そう答えたところ、いつもは物静かな方なのに
「ブーッ」
いきなり噴かれてしまった、まあマスクしてらしたから唾は飛ばなかったけど。
「すみません、笑い事じゃないのに。
 そうですねえ、こちらのお薬を少し変えてみましょう」
きまり悪そうに通常の先生に戻った。

いえいえ、先生、私はうれしく思いましたよ。
こんな影の薄いインキー婆でも、まだ人さまを笑わせることができたんだなあ、って。

PageTop

晩秋

一昨朝。
診察日だったため久し振りに体重を測った。
吃驚した。
BMIで言うと15を切っている。
さすがにこれはあかん。

先生も胸の診察より先ず顔を見て
「ちゃんとしっかり栄養摂ってますか?」
うーん…摂れてないんだろうなあ。
何を口にしても美味しくないし、すぐ胃が重くなる。
抗ホルモン剤の副作用としてはあまり見られない症状ってか、一般的にはむしろ逆らしく、
慣れるまでに時間がかかる体質なのかもしれない、とおっしゃった。


ついでに。
残った右胸に二か所、それぞれごく小さな粒が三つくっついたようなものを見つけたので、
そのこともお話しした。
先生が触診する限りではほぼ心配ないそうだが、安心を得る為エコーはしときましょう、と。
左胸のとき、最新の造影MRI機で同時に右も検査した際は、異常無し。
が、リンパ節転移も無しという所見だったのに、手術時のセンチネルでは広がっていた。
きっとわかりにくい病なんだろうなあと思う、ある程度育っちまうまで。
まあとにかく受けて帰ってきた。


何にせよ、美味しいもん・好きなもんの豊富なこの時季。
こんなに食えんでどうすんねん、と、少し悲しくなる晩秋だ(笑)。

PageTop

ズッキーニ

食欲ねぇよぅーと嘆いたところでしゃあない、ましてや似非即身仏(笑)になるのも癪。
少しでも食べやすいものをと、今夜は水菜をお供の湯豆腐にした。
めっさ手抜きやけど、胃弱のおっさんも喜んでくれたし、まあええわな。

安かったため買ったズッキーニでついでにもう一品。
ズッキーニ好きなんだよね、ナスっぽいのにクセが無くて。

以下は覚え書き


【 ズッキーニのバター醤油ソテー 】

ズッキーニ 1本
バター 適宜

※ 醤油 小さじ1
おろしにんにく 適宜
砂糖 ひとつまみ

フライパンにバターを溶かし、5ミリくらいに輪切りしたズッキーニを入れて塩少々を振り、
両面軽く焼き色をつける。
※を加える。


やっぱりこれも手抜きな簡単さですな。

PageTop

骨どーすんだよw

昨晩、お風呂上りにパジャマのパンツの裾を膝までめくって足の爪を切っていたところ、
ちょうど帰宅した伜が一言。
「あんた、いったい何なんやその手首みたいな足首は、どんなふざけた仏か知らんけど、
まんま即身仏になってまうぞ」
先日も思ったが、野郎というのはどうしてこう厭味なものの言い方をするんやろ。
加えて直截でもあるし(笑)。


ホルモン抑制剤を服用するにあたり、現在の主治医の部長先生は、
「低体重のあなたには関係ないだろうが、薬の副作用でどんどん肥満する人もいます。
長年に亘る治療なので、その点はほんの少しだけ気に留めておいて下さい」
とのこと。
私はガリなのに何故かなっちゃったけど、乳癌の大敵は肥満だと言うしねえ。
また、リンパ浮腫外来の講師の先生からは、
「予防のためには太らないようにすることが最も大事です」
同時期にリンパ節郭清した各部癌患者を集めた場にてスライドでのそんな説明があった。


けれど。
なんか伜が指摘する通り、逆に羸痩の域に入ってきたような気もする。
いつまでも続く左上半身の痛みのせいなのか、或いはこれも一種の薬の副作用なのか、
私の場合、今んとこ一日中じわっとくる吐き気のため食欲がわかん。
本来食欲の過増進に悩む人が多いらしいものの、副作用の表れ方は個々に違うもんな。

骨粗鬆症を誘発することは、はっきりわかっている薬。
癌細胞の増殖を阻むため、謂わば強制的に老化を進めている側面もあるわけだし。
なのに、必要な栄養は摂れねぇわ、ろくに動けねぇわで、一寸困る。

PageTop

おやまあ

土曜の午後、『西郷どん』の再放送をぼんやり観つつ、
「ところで私の執刀医はどこへ行かはったんやろ・・・」
やはりぼんやり呟いていたら、休日なのにめっさ珍しく家にいた伜が背後から、
「今あんたの前にあるパーソナルコンピューターという文明の利器で検索すりゃええやん」
と。
いちいち厭味にめんどくせー物言いをしやがる、誰に似たんだ、私か(笑)。

ぼんやりしたまま検索してみたところ、おやまあ。
さすが文明の利器、いっぱい出てきた。
外科の各分野に亘る論文、学会での発表・講演etc.…。
現在は、某大学病院にて先進医療のプロジェクトチームに加わっておられるそう。
ついこないだ田舎のババアのお乳切ったばっかなのに、一体何なんだその転身は。


夕方、帰宅したおっさんと
「おとーさん、○○先生は、何か学術っぽいってか、研究者だったみたいやわ」
「ほぅ、どれどれ、なるほど、こりゃ、日程的にあんたがこの土地最後の執刀やな」
「臨床だけじゃなくて医学博士号取って上を目指ささはるんやろね」
そんなことを話した。


田舎のババアとしてはむっとするとこもあるけど(笑)、今後の御活躍を心よりお祈りする。

PageTop

かったりぃー

ホルモン療法と言っても、一日一回小さな錠剤を忘れず服用するだけである。
このお薬は骨粗鬆症を誘発するらしいので、頂いた日に予防用の点滴を受けた。
先生曰く、
「二、三日微熱や関節痛が出る場合がある点滴なので、解熱鎮痛剤も処方しときます」
だそう、しかし、微熱どころか…。
四日間、39度超の高熱が出て、次に解熱鎮痛剤を飲めるまでの6時間が辛かった。
関節は、全身に関節があるんだなあと知らしめられるくらいどこもズキズキ痛かった。

その後本格的にホルモン抑制剤を服用し始めて思ったのは、かったるさだ。
やったらかったりぃー、かったるくて機能しねぇ、頭も心も身体も。

しょっぱなからこんなことでどうしよう、だわな、でも、何を言っても詮無い話。
抗癌剤は迷いに迷った挙句受けぬと決めたが、根性ねぇんで正解だったかもしれん。
とにもかくにも、私は死ぬまでこの私と付き合っていくしかない。

いま現在になってようやく知った。
あんた、案外自己愛の強い者だったんだね、と。
だから、私はあんたに一生付き合ってやるよ、そう自分に言い聞かせている。

PageTop

告知を受けたときは、割と冷静だった、まあしゃあないわな、と。
入院・手術して片乳になり退院した後も、割と冷静だった、まあこんなもんなんやろな、と。


近く各種業者さんが入るマンション全体の一斉点検がある。
あらまあ、ではお部屋を片付けなければって、のろのろながら動いた。
動いたつもりだが、あんまり動けなかった。
身体が私の意思を拒否しているみたいに。

あらためて思った。
ああ、そうか、私は一応癌患者なのだなあ。

すごくやりきれん気持になった。
ずっと泣かなかったのに、おっさんの目の前で涙をこぼしてもた。
こぼされたひとの気持を考えもせず。


涙はやはり我慢せなあかんな、せめて明日まで。
できれば、それがうれし涙になるかもしれん明日まで。

PageTop

あたりまえのこと

七月、悪性腫瘍の診断結果をおっさんに話したとき、彼は、
「昔は告知自体が大ごとやったのに、今は当の本人から聞かされるんやな」
ぽつり言い、黙り込んだ。
「そんだけ医学が進歩したんじゃね? フツーの病気なんやわ」
と、答えつつ、言われてみればそうだなあと思った。
古いドラマを思い返すと、本人にどう伝えるかみたいな周囲の懊悩シーンがよくあった。
それがテーマになっていたのさえあったような。

入院して、手術して。
そういうことには慣れてるんで、まあしゃあないわなあ、だった。
ただ、病院のベッドであれやこれや考えもした。


私は、ずっと、死ぬのが怖かった。
幼い頃母親に何度も訊いた憶えがある。
「おかあさん、人は死んだらどうなるの? どこへ行くの?」
そんな阿呆な恐怖心を五十路になるまで胸のはじっこに隠し持っていた。


だけど、たまたまひとりだった日の四人部屋の病室で先の事をぼんやりと考えたとき、
死ぬのをさほど怖いと思わなくなっている自分に気付いた。
すごく不思議だった。



死ぬのはこの世に生まれてきた全ての人にとってあたりまえのこと。
この歳になってようやくながらわかったのが、私の生においての収穫なのかもしれん。

PageTop

先生

実は、一昨日最もショックを受けたのは…。
初めから面倒をみてくれはった主治医であり執刀医でもある先生がいなくなってしまう、
そのことだった、てか、一昨日が最後の外来診察だった。
市立病院なんで、お役所っぽく見辛い掲示板にそういう文書が貼ってあっただけ。
最終日の診察を受けるまで、私は知らんかった。

一昨日も、
「きすけさん、排液を穿刺してから創の盛り上がった部分を削ってきれいにします。
少し痛いかもしれませんが、遠慮なく言って下さいね」
「はい、お願い致します」
ってな感じで、いつも通りのやりとりだった。
ただ、今後の治療についてまだ迷いがあると話したとき、すごく困った顔をされたので、
変な気はした。
「次の診察予約は部長にお願いしますね。
でも、急いで決める必要はありませんよ、御自身のお気持ちが最も大事です。
できたら私も来ます」
余計変な気がした。
なんで部長先生なんだろう?
なんで“できたら”なんだろう?

先の事を決めかねてはいるけれど、いずれにせよホルモン療法だけは受けねばならん。
診察後、その療法のための検査があって移動するとき、偶々通りすがりに掲示板を見た。
『外科の○○医師転勤、最終の外来診察は9月13日になります』
えっ、何だねそれ?
先生、聞いてないよぅー?
でも、お医者さんとしては、よくあーる話じゃーないかー (by日吉ミミ またかいw)。
転勤となっていたが、実際は退職、新天地の病院で活躍されるのだろう。


入院中毎日見てたら、甥っ子よりちょっと年嵩だったものの、雰囲気はやはり似ていた。
何より、言葉の柔らかさで安心感を得られた(甥っ子は私に似ずそういうええ男やねん)。
優しい先生でよかったな。
阿呆なんであからさまにきっついことを言われた場合、質問とか何もできへんかったやろし。



何だかんだでしょぼくれていた私に、帰宅したおっさんが言った。
「旅行しよ、一泊でも、隣町でも、旅行は旅行や。
うまいもん食って力つけて、そっからまたやってこに」

うん、行く!
もう少し待っててな、創が治ったら是非とも。

PageTop