茅屋雑記帳

ボンクラ主婦きすけの気ままな日記

一本道

『いちずに一本道 いちずに一ツ事』
 by みつを

小綺麗な蕎麦屋などでよく見かける。
本当は何行か続く詩だが、冒頭部分だけの書が額に入れられている。

ちっとも感動できない。
一本道は非常に困る。

私は極端な人嫌いというわけではない。
が、一本道で知った顔に会うと、苦手な相手でなくとも心は千々に乱れる。

向こうからやって来るのは○○さんだな。
うーん、まだ少し距離がある。
あと何歩で“あら”な表情に変えよう、どの辺りで声をかけよう…。
感じの良いスマートな挨拶への緊張が走る。

このようなときは大概相手も当方に気付いているものだ。
お互い気付いているのに気付かぬふりなのを気付き合っているという、
何だかややこしい状況なのである。

二乗のわざとらしさを持て余し、猫を被るどころか猫背になってしまう。
実際に
「こんにちはー」
と声を発した頃には、もはや立ち止まって話をする余力が残っていない。
ぎこちない笑みを頬に貼り付けたままそそくさと通り過ぎる。

斯くしてまた怪しい奥さんという印象を重ねるに至る。

あるとき、思い切って初めからにこやかに手を振ってみた。
ところが相手は気付く間もなく端の商店へすいっ。
前方には集団下校の小学生の群れ。

今度は怪しいおばさんという注視を浴びるに至った。

「にんげんだもの」
 by みつを

そりゃそうだけどさあ…。


相田みつをの作品には、方々のお寺で善男善女相手に行われる日曜説法、
あれをごくシンプルに具象化したもの、といった趣を感ずる。
心の灯火のように受け取る人も多かろう。
ただ、くそばばあである私の胸には響かぬだけのことだ。

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