茅屋雑記帳

ボンクラ主婦きすけの気ままな日記

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かっこいいひと

お盆休みだし、
「ごく近場でいいからちょっと旅行でも」
と、洒落込みたいところだが、医療費のかかる糞婆、そういうわけにもいかん。
第一私は文字通りの糞婆で、一日に何度もトイレに駆け込む厄介な病持ちなんである。
やれやれ…おっさんもよくこんな奴と30年近く付き合ってくれてるもんだなあ…感謝。

そんなこんなでランチなんぞにもなかなか行けないんだが、楽しみにしてることはある。
以前にも書いたけど、土日によく連れてってもらってた大好きな老舗の和食処が、
店舗を移してじき新しくオープンするのだ。
御主人が亡くなってもう二年になるかな、息子さんがしっかり味を引き継いでおられ、
また、寂れた商店街を盛り上げるイベントにも積極的に取り組んでらして、頼もしい。



御主人(てか、おやっさんと呼ばせて頂こう)が亡くなったときは、大変なショックを受けた。
先週までお元気でいらしたのに、お姿が見えなくなり、どうされたんだろうと思っていたら、
あまりに突然なおやっさんの訃報。
細身で小柄な方だったが、しゃっきりのびた背筋、よく通る声、本当に素敵やった。


常連さんの多い店、私ら夫婦はお得なランチばっかで全く上顧客じゃなかったけれど、
或る夏の暑い日、そう、ちょうど今頃のお盆の時季だったかな。
「美味しいねー」
煮物に舌鼓を打っていたら、野菜を仕入れに外に出てらした奥さんが青い顔をして戻り、
「クルマ、うっかり鍵を中に置いて閉めてもうたんです、どうしよう
JAFに電話したんやけど到着はいつになるかわからへんみたいで…」

キー閉じ込みはよくあること、うちもいっぺんやったわえ。
今時のクルマじゃ駄目だが、少し前の古い車種なら針金ハンガーで何とかなったんで、
当時のクルマのトランクには常備しておいた、自身にはあんま意味ねえけど(笑)。
「上手くいくかどうかわからへんけど、できる限りやってみますわ」
おっさんが立ち上がって表に出、器用にハンガー使って作業。
交番の真ん前のお店なんで、おまわりさんが来て不審な顔をするし色々鬱陶しかったが、
何とかめでたく開錠、パチパチパチパチパチ、偉いぞ、おっさん、ラブユー。

で、だ。
何が胸を打ったかというと。
その後、気のいい奥さんがおやっさんに、
「ご迷惑をおかけしてもたし、お代を頂くのはやめときましょう」
耳打ちしたのが聞こえてきたんだが、おやっさんは即座にこう返された。
「あかん、そんな態度はお客様に失礼や」

かっこいい、ほんまかっこいい、痺れてしまうほどかっこいい一言。

あのときお代を払わなかったら、却ってその後お邪魔するのを躊躇ったであろう。
恩着せがましさってのは避けたい、自身の気持ちに関係なくそう思われるのは嫌だ。
そういう変な心の内側をきちっと見抜いてらしたのか。


お盆なんで、おやっさんも帰っておいでるかなあ。
息子さんの新店がオープンしたら、体調さえ悪くなきゃ必ず寄らせて頂きますよ。
おやっさん、どうぞよろしくお願い致します。

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