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茅屋雑記帳

ボンクラ主婦きすけの気ままな日記

とうがん

朝。
洗濯物&布団を干しにベランダへ出たら、おや、かすかながらも、季節の便りが。
金木犀である。
風を通すため、家の全ての窓を開け放しておくうちに、少しずつ増してくる、その芳香。
ああ、もう、ほんとに、こころの隅々まで潤う。
ことしも、ありがと。



さて、話は、ころっと変わる。

前の記事で述べたように、にこにこ買って帰った、とうがん。
しかし、実は、おっさんが大の苦手とする野菜なんである。

新婚当時、鶏団子と共に葛煮にして供したところ、
「これ、なん?」
「なん? って、とうがんじゃん」
「うわ、やっぱりか…ごめんやけど俺あかんねん」
出汁と生姜をきかせ、なかなかな仕上がりだったにも関わらず、箸さえ付けてもらえなかった。
アレルギーの関係なら致し方ないが、そうではない。
せめて一口だけでも食べてくれればいいのに、と、結構しょんぼりした。
以後、ぱったり用いぬ食材となった。

だが、私ゃとうがんの、淡白乍らも地味に個を主張する、瑞々しい味わいが大好きなのだ。
伜が幼稚園に上がった三歳頃から、接待や出張他でおっさんが不在、ってなときを狙い、
夏~秋季には、再びとうがん料理を拵えはじめた。
伜は、特に喜びはしなかったものの、嫌がりもせぬ。
二人での食卓に限り出ることなど知らなかったろうが、高三までの間、普通に食べてきた。

そして、彼がよそのまちへ行き、とうがんはまた、御無沙汰な野菜に。
だって、よ…。
ワタ取って皮剥いて一口大に切って面取りして背に格子の包丁目を入れて塩水から下茹でして、
んでやっと改めて他の食材と共に煮込むとかって(どうでもいいけど文節の末尾が“て”ばっか)
独りメシのためにわざわざかけるほどの手間か?
正直、私だけのごはんなんぞ、残り物のアレンジか、茶漬け、蕎麦・うどん、カップ麺位で上等。
はい、怠けることにも余念はございません。

とにかく。
そのとうがんが、極私的に一躍日の目を見たのは、先月上旬。
ゼミでフィールドに出たチーム調査を終え、卒論にて説を立てつつ湧く疑問点を検証すべく、
現在は単独でちょこちょこ各地を訪ね回っている伜からの電話で、だ。

あれこれ予定が狂い、小さなまちに唯一みたいな昭和風の宿に飛び込んだらしいバイク野郎。
「素泊まりやよって、そこの食堂でお茶もうて、コンビニで買うといた弁当食っとったんやわ。
 
そしたら、宿のおばちゃんが、
 『そんなもんだけじゃ力がつかん』
 
て、丼盛りの煮物をサービスしてくれはってなあ。
 とうがんてやつか? あのとろっとした煮物。
 昔食ったあんたのんそっくりやってなあ、しみじみうれしかってなあ」

受話器を置いた後、しばし黙り込んでいた私へ、怪訝な顔をするおっさんの、
「どした?」
に対し、
「なんや知らんけど、とうがんがうまかったんやて」
怪訝度をさらにアップさせる胡乱な返答。

けど、私にとって、あれほどの褒め言葉は、ない。
私ゃ昔から、褒められるってことがあまりなかった人間だ、容姿以外は(おい平然と大嘘こくな) 
だから、余計、伜のかいらしいひとことに、私こそ、しみじみうれしかってなあ、になっちゃって。
能無しでへなへなだらしねぇ者でも、一応“おかん”ではいられてたんかなあ、とか思っちゃって。

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コメント


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きすけさんの、息子さんのはなしは毎回涙が出ます。

ハテナさん | URL | 2012-10-30(Tue)02:10 [編集]


?さん

こんにちは、コメント、ありがとうございます。

何なのでしょう、離れてみると、伜の言葉のひとつひとつについじわっときてしまうし、また、思い出すことのひとつひとつが知らず美化されちゃったりして(笑)。
元気に過ごしてくれてい、ありがたいです。

きすけ | URL | 2012-10-30(Tue)11:42 [編集]