茅屋雑記帳

ボンクラ主婦きすけの気ままな日記

懐慕

お香用の百円ライターのガスがなくなったため、コンビニで購入しておいた。
元日の夜、新品のそれを取り出したものの、ボタンが固くてちっともついてくれん。

五、六年前、よく伜とタカトシ風のおちゃらけた会話をしたものだが、
「子どもか!」
久々に奴にツッコまれた。
そう言えば、子どもの事故防止のため、一斉に百円ライターの仕様が変わったんだっけ。
改めて見たら、ちゃんとその旨を記したシールが貼ってあった。

正直、このところ、ペットボトルや広口ビンの蓋などもひどく開け辛くなり、困っているのだ。
「高齢か!」
自分にツッコミを入れねばならんぞ、情けない。


と、ぼやきつつも。
どういう訳だかふと、『鬼平犯科帳』の“女掏摸お富”という作品中の或る一場面を思い出した。
掏摸の元締夫婦に育てられた養女・お富が、素質を見込まれて掏摸の修行を始める。
大きな丼に盛った砂の中へ人差指と中指を突き込んで、その二本の指を締めたり離したりし、
指の力をつけてゆくくだりだ。
隅々の描写にもリアリティー・説得力があり、こうして物語と関係ない日々の衰えによってさえ、
いや、掏摸に関係ある日々じゃむしろ問題なんだが、とにかく、折々に甦ってくる、池波正太郎。
何やら百均で安い丼買ってきてやってみたくなるではないか。

上記は冗談にしても。
実際がとこ、エッセイも含め諸作品に登場する数々の料理のうち、簡単なもののいくつかは、
すっかりうちの定番になっている。
心に潤いを残す作家は多けれど、日常の奥深くにまで沁み込んでしまう作家は、そうはいまい。
今なお慕わしくて仕方ありませぬよ。

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