茅屋雑記帳

ボンクラ主婦きすけの気ままな日記

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猫景色

気持ちよい青空の広がった昨朝。
お向かいの敷地でねこがカラスに因縁をつけられており、ふと布団干しの手を止めた。
駅前の小規模な繁華街を少し離れるとすぐに田畑や里山が現れるような町なので、
カラスも凶暴性はないが、ごみ収集日にはねことの小競り合いがちょくちょく見られる。
数羽のカラスが遠巻きにガーガー威嚇する中、ねこはいつも平然としていて可笑しい。
何だかいかにも面倒臭そうな“ちっ”という舌打ちが聞こえてきそうだ。


若い頃。
予定もないのにやたら早く目覚めた休日など、よく海辺の町へとふらり出かけた。
三重県は志摩半島・大王崎灯台のある波切も、何度か訪ねた地だ。
いったいに、ひなびた港町にはねこがつきもののようであり、またよく似合う。
波切も同様で、石畳の続く細道、寺社の境内、昼下がりのとぼんと静まり返った漁港、
行く先々でたくさんのねこたちに出会った。
防波堤に腰掛けぼんやりしていても、どこからか一匹また一匹と姿を見せては、
怖じもせず媚びもせず、まるで私が木や石であるかの如く気ままに振舞う。
ねこがのびのび憩う町は、高齢化が進む町とも言えるのかもしれない。
出向いた時刻も関係していようが、見かけるのはお年寄りばかり。
が、そんな現実をよそに、私はひと切れの風景に溶け込んだ心地でねこたちを眺め、
小さな旅の甘く気だるい愁いに浸っていたのだった。


『志摩の猫』という味わい深い一冊がある。
写真集の常で些か値は張るが、五百円玉貯金の中から六枚出そうかな、などと思う。

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