茅屋雑記帳

ボンクラ主婦きすけの気ままな日記

愛車 (6)

私たち親子の、君との暮らしを、色々書きかけたのだけれど。
やめとくことにした。 
あまりに思い出が多過ぎて、あれやこれや、あれもこれも、と、収拾がつかぬ。
大体、そのたくさんの思い出も、脳内で知らず美化しちまっているような気がしないでもないし。

が、行楽などのはしゃいだ声ばかりでなく、喘息発作で深夜に幾度となく病院へ急いだときの、
「だいじょうぶ、だいじょうぶだよ」
不安を押し殺し坊に呼びかけつつ、実際はひどくおろおろしていたであろう情けない声だって、
嫌というほど聞いてたんだよね、君は。
言い換えれば、それさえも美化しちまうくらい大切な日々を乗せてくれてたんだよね、君は。


“かっとびスターレット”なんちゅうキャッチコピーで売り出された君だが、私たちとしては、当然、
必要以上にかっとばす気はないし、むしろ急勾配の山道や、たまに我がまちにまで襲来する、
山脈越えの大雪の際に感じた力強さのほうが、うんと深く心に残っている。

十年近く踏ん張ってくれたけれど、やがて不具合を生じるようになった。
電気系統の劣化でエンジンのかかりにくい状態だったのが、一旦停止の際のエンストに及び…。
愛するクルマ。
だけど、最も愛する夫が運転し、最も愛する坊を乗せるクルマ。
別れを決めた。

なのに、君を手離す際にはやっぱり泣いた、身勝手にも。

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