茅屋雑記帳

ボンクラ主婦きすけの気ままな日記

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愛車 (2)

私のアルトは、人間以上に大切な存在だった。
彼さえいれば、恋人なんかいらんなぁ、と思うほど。
ま、男ウケしないド偏屈なねーちゃんの言い訳でもあったわけだがよ。

実際彼は、真に頼もしい相棒なのだ。
こんな私でも当時は会社勤めをしており、ケツの青さゆえの話乍ら、それなりに悩みもあった。
人々の、疲れた表情を映す鏡でしかない地下鉄の窓から目を逸らし、家に帰る毎日。
が、とぼとぼ辿りついた玄関の横にはちょこんとアルトがい、
「おかえり、きすけ」
誰よりも先に迎えてくれた。

「ただいま…ふぅ」
へろへろしつつも、彼と視線が合うや、
「今夜は、どこへ行こっか?」
じめついた気分が外向きに。
母親が、有難くも私のために取り置き、温め直してくれる美味しい晩御飯をぺろりと平らげ、
すぐさま乗り込んだ。

平日は、瑞穂、昭和、千種区辺りの、遅くまでやっている喫茶店へ行くことが多かったが、
土曜の夜は県境を越え、三重方面にも足を延ばした。
現在でこそネットで『工場萌え』などと取り上げられているが、当時は見向きもされなかった、
四日市のコンビナート。
R
23から見るその夜景は、好況であった分、今よりもっと輝いていたのではなかろうか。
冬なんか特に、空を欺く天の川のように映り、
「きれいだねぇ、アルト…」
いちいち声をかけてしまう。
他人様からすれば、かなりあぶない奴だったのかもしれんな。

今日も一緒。
君と一緒。
私は、いつも、ひとりぼっちではなかった。

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