茅屋雑記帳

ボンクラ主婦きすけの気ままな日記

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風林火山・ずしり…『両雄死す』

見終わった後、しばしぼんやりしてしまった。
千葉板垣、竜甘利、いずれも脳裏に焼きつく熱演である。

千葉真一ほど馬上の武者姿が威風堂々と映える役者もそうはいまい。
一歩間違えば大仰に堕す台詞まわしさえ却ってその意を重厚に響かせる。
右手に刀・左手に槍の二刀流は今回も出たものの、流石にニヤリとはできなかった。
また、今作における甘利の人となりを見るに、かなりの難役だったと思うのだが、
国を思うがゆえに抱え続ける重臣の猜疑と緊張感を竜雷太は見事に表現していた。
板垣信方の最期は主晴信が甲斐の国を治めていく上での理念を刻すものであり、
甘利虎泰の最期は甲斐の国から主晴信へと課される理念を刻すものであった、
陳腐なまとめながら私はそう感じる。

『風林火山』は、どこか劇画を思わせる芝居の大きさも魅力のひとつで、
前出の千葉板垣のみならず、内野勘助、亀治郎晴信からして、表情にも台詞にも、
デフォルメを意識したシーンが随所に見られる。
亀治郎の所作はそれこそ見得を思わせ、時に隈を取っているかのような錯覚に陥る。

このように曲者揃いの濃いメンツの中、知らぬ間に瞼に残像を浮かばせてしまうという、
不思議な存在感を示しているのが、河原村伝兵衛役の有薗芳記である。
実は今回最も胸を打たれたのも、板垣と元は百姓・伝助だった伝兵衛との主従の絆。
「伝兵衛、そちは見事な侍じゃ」
という板垣の言葉には思い切り泣かされた。
敵にとり囲まれ痛手を受けた板垣につい伝兵衛が上げた
「だんなさまーっ」
の絶叫は、晴信のそれより私の心の内で尾を引きそうだ。
故・川谷拓三のように人生の哀歓を滲ませる役者への大化けを期待する。

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