茅屋雑記帳

ボンクラ主婦きすけの気ままな日記

失恋の特効曲

お盆のことだが。
実家の23歳になる姪っ子とわはわはお喋りしているうち、何故か、
「失恋したときにはどんな曲を聴くのがいいのだろう」
てな話になった。

婆にとっちゃどうでもいいお題ながらくだらん事柄に限って真面目に沈思する性向の持主ゆえ、
黴の上にサルマタケまで繁殖している記憶と照らし合わせ、帰宅後もあれこれ考えていた。

…古いところじゃ中島みゆきの『わかれうた』やら『ひとり上手』、『りばいばる』等を聴けば、
 そのまんまドツボに嵌ってしまうであろう。
 かと言って『I’m proud』なんか聴いちゃった日には小室に投石したくなること必至。
 また、
 「ひゅーるりぃー ひゅーるりぃーららぁー」
 みたいな演歌特有の古臭いヒロイン気分に浸るのも嫌だ。
 けど、『日本全国酒飲み音頭』でヤケクソになっちゃ、それこそ人格そのものの崩壊だし…

で。
新旧さまざまな詞・メロディー・歌声を思い浮かべているうち突然甦ったのがこれ。



この大友裕子という人がデビューしたのは高校生の頃。
ハスキーなんてもんじゃないドスのきいた嗄れ声に度肝を抜かれた。
後にヒットした葛城ユキの『ボヘミアン』も元は彼女が歌っていたのだが、当の『傷心』を始め、
『手切れ金』だの『死顔』だのやたらヘビーな作品が多く、十代のムスメには馴染めなかった。

可愛げもクソもなかった人間なんで、どろどろ粘度の高い恋愛も知らずに過ぎてきたのだが、
自分なりに安っぽく傷ついたことは何度かある。
そんな或る夜、ラジオからこの『傷心』が流れて来、しいんと最後まで聴き入った。

          【   同じベッドで眠って 同じ朝を迎えた
              だけど互いに違うこと 考えていた
              今まで何度も 恋をした
              だけど あなたとなら 死んでもいいと思った
                 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
              同じ夢を追いかけ 同じ風に吹かれた
              だけど互いに違うこと 考えていた
              なんにもしてやれなかった
              だけど あなたとなら 死んでもいいと思った
              あなたとなら 二人なら 死んでもいいと思った   】

そこでふと口をついて出たのは、
「うーん、死ねんな…」
という言葉である。
歌詞の意味とはとんでもなくかけ離れているんだが、
「もし彼に『一緒に死のう』と言われても、絶対死ねんかったわ」
おのれの涙に酔う心の裏側で正直にそう感じていた。

そして、
「結局、そこまで好きじゃなかったんだよね。
 だったら、ぐずぐず泣くまでもないか」
こう自分に言い聞かせ、何とか区切りをつけようとした。

勿論、誰に『死のう』と言われたところで私のように利己的な人間が承諾できた筈はない。
「そんなもん単独でやれ、岩清水弘だったらきっとそうしてくれるぞ」
と、即座にトンズラである。

考えてもみよ。
「一緒に死にたい」
「死ぬほど好き」
「死んでもいい」
とか叫んだって、それは瞬発的に滾る“思い”だからこそ美しいのだ。
醒めてしまえば甘ったるい恥ずかしさが残るだけの“思い”を実行に移すなんてつまらん。
実際、どうせ恥につながるなら、腹下死でもしたほうがよっぽど気が利いているではないか。
たとえどれほど周囲に迷惑をかけようが、私本人はしゃらーっと極楽往生、ってやつな。

ともかく。
失恋したときには胸やけするくらい過激な曲で我に返るのも手である。

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