茅屋雑記帳

ボンクラ主婦きすけの気ままな日記

勝手に語る歌謡曲 3

さて。
アイドルの曲は、売れに売れた所謂代表曲よりそこそこ売れたものの中に名曲が多い。
尤も、私の好きな曲がたまたまそうだったってだけの話なんで乱暴に断じちゃいかんが、
それでも、大ヒットした代表曲=名曲とは言えないように感じる。
西城秀樹など何を思ってカバーしたのか『YOUNG MAN』が代表曲となってしまい、
トホホな意の英文がでかでかと踊るど派手なTシャツを着続けているようで痛ましい。
その上いくつになろうとピーカンな明るさで歌わねばならず労しい。
田中星児を見てもひとこと、御苦労さん、だけで済むが、西城の場合は複雑だ。

それはともかく。
子ども時分より馴染んだアイドルに焦点を当て、デビューした年の古い人から順に、
私の好きな曲を書き留めてみると…

幼稚園時代既に活躍していた記憶のあるフォーリーブスは、何と言っても『踊り子』。
人気のピークを過ぎてからの曲で発売されたときは中三だったが、小四の頃流行った、
「 だって 地球は丸いんだもん  地球は~ ひ~とつ~ 」
などという、田原俊彦の先駆けとなるようなタハハ…な世界とは打って変わって、
何だか映画のワンシーンを思わせる哀愁が漂い、ぐっときたものである。
作曲者の故井上大輔(忠夫)は、
グラス・ルーツの『Let’s Live for Today』を意識し、
さりげないカバーとしてあの印象的なメロディーを用いたのだろうか。
シャーラーラララララランラーのスキャット部がほぼ同じで、強く耳に残る。
だが、そんな情緒も『ブルドッグ』で再び急転、今度はガーッハッハ!となってしまった。

野口五郎もやはりアイドルと呼ぶのは無理になった頃の『19:00の街』がいい。
『私鉄沿線』のウエット感も嫌いではないが、胸絞り度では前者に軍配が上がる。
がさつ者の陶酔好きってやつなのか、要するに私は切ないなら切ないで切ないなりに、
一人がーっと盛り上がれる曲を求めるのだろう。
そして、これもまた、バーブラ・ストライサンドの『Woman in Love』とどこかしら似ており、
その点に惹かれたと言えなくもない。
因みに『Woman in Love』は、聴く度ちょっと馬鹿になってしまうくらい好きな曲だ。

南沙織は『傷つく世代』。
思春期に入った小六女子はこの曲に青春の香りをかぎ、うっとりとしていたのだが、
           【   ああ どうして この世に あいつがいるのよ 
               どうして お互い 傷つけあうのよ        】
という思いを実感したのはもっとずっと後のことだった。

郷ひろみは高一のときに出た『悲しきメモリー』が光る。
特に二番の、
           【   青いシャツに着替えて 
               ちょっと気取って朝の汽車で 
               南の国へ 旅立てよ                】
という、臭さ半歩手前の軽さ、いいかげんさが不思議に優しく感じられて好きだ。
筒美京平のノリノリにテンポのいいメロディーも歌謡曲の王道を示している。

冒頭でも触れたが、西城秀樹については、たとえミリオンセラーになったからって、
懐メロ番組で『YOUNG MAN』ばかりを取り上げるのはどうかと思う。
『ちぎれた愛』、『激しい恋』、『傷だらけのローラ』、いずれも貴重な作品ではないか。
あれほど何のためらいもなくやみくもに激情を表現できた青年はまずいまい。
決して皮肉ではなく感心しているのだ、世の中、ときには無駄な熱さも必要である。
ただ、私の一押しは『炎』。
高二の私にとって派手な振りはさむつぼもんだったが、いい詞だな、と思った。
作詞は阿久悠、さほどヒットしなかった曲、また、あまりぱっとしなかった歌手の曲でも、
ふと心に残る言葉があると、彼の作品だった、なんてことが多い。

アグネス・チャンは『白いくつ下は似合わない』で決まりだ。
ユーミンの作詞・作曲なので好きになるのも当然だが、
           【   失くしたものなど 何もないけれど
               白いくつ下 もう似合わないでしょう       】
全く、こんな鋭敏且つ美しいフレーズ、彼女以外の誰が思いつくだろう。
当時私は中二、『男おいどん』だの『野球狂の詩』だの『うしろの百太郎』だの、
選択に一貫性のない少年漫画ばかりでなく、一応『りぼん』なんかも読んでいたりした。
この曲を聴くと、陸奥A子、田渕由美子、太刀掛秀子の漫画を思い出してしまうのは、
哀しみの中にあふれる清潔感ゆえか。

桜田淳子も私が高一のときに中島みゆきが二作続けて提供した『しあわせ芝居』と、
『追いかけてヨコハマ』に惹かれるし、後者など気だるさの匂うみゆき自身の歌唱より、
大人の女へ脱皮すべく試行錯誤しているような淳子の歌い方のほうが好きなのだが、
次に出た『リップスティック』は、その試行錯誤が最もいじらしく懸命に感じられる点と、
また、松本隆&筒美京平というゴールデンコンビが織りなす歌謡曲らしさによって、
一番に好きな曲となっている。

だらだらと長くなり過ぎ、収拾がつかなくなってきた。
山口百恵で一旦〆にしよう。
彼女の場合は初期の“幼い性”的なものと、『横須賀ストーリー』以降多数出された、
こちらもゴールデンな名コンビ・阿木&宇崎による垢抜けた曲とで趣に違いがあり過ぎ、
21歳という若さで引退してしまったにも関わらずどえらい変遷を経た人なのだなあ、と、
今さらながらその凄さを思う。
だが、私は中一のときに出た『ひと夏の経験』も好きだった。
イントロのメロディーがとてもきれいで知らず引き込まれたし、あの歌詞も彼女が歌うと、
きわどい淫靡さを感じさすよりどこか遠い国の物語のように聴こえた。
何より、中日ファンの番頭さん(実家は自営業)が買う中スポの芸能欄に載っていた、
《記者たちに、君にとって女の子の一番大切なものとは何、と訊かれた山口百恵は、
 まごころです、と落ち着いて答えた》
という記事に感嘆したことで、自分の中じゃ全く別の意味に様変わりしたようである。
そして、彼女のベストワンは阿木&宇崎コンビの『謝肉祭』。
           【   人よりたくさん いい目に遭って
               人よりたくさん 悲しんだ
                 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
               ジプシー ジプシー 恋に疲れたらどうなるの
               ジプシー ジプシー ひとりぼっちで果てるだけ 】
最初から最後までゾクゾクする曲だが、そこはかとなく揺曳する無常観にも打たれる。

で、だ。
何について、どんなことで、そう言いたくなるのか、自分でもさっぱりわからないのだが、
気に入った歌謡曲をあれこれ口ずさんでいると、いつもこんな言葉が浮かぶ。
安っぽかろうが薄っぺらであろうが、花火を仰いだように心の照り映える瞬間があれば、
それでいいではないか、じゅうぶんに純粋ではないか。
理由さえさっぱりわからないだけに、まっこと困ったものだとこっそり赤面する。

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コメント


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あまりにも濃い内容に、何から語ってよいかわかりません。
散発でもいいですから、続きお願いします。

なお僕は、フォーリーブスの曲は「ブルドッグ」しか知りません(笑)アグネスチャンも詳しくありません。

あとのアイドルの曲は網羅しているつもりですが、桜田淳子の「リップスティック」は完全に同意です。僕は筒美信者ですし。筒美京平会心のメロディーですね。
「ザ・ベストテン」で完成したばかりの成田空港から、桜田淳子が「リップスティック」を歌っていたシーンを中継していたのですが、本当にカッコイイ空港だなあと思いました。

あと、きすけさんに怒られそうなベタな曲ですが ♪去年のトマトは~の「気まぐれヴィーナス」も脳天気で好きです。アイドル全盛期の「はじめての出来事」もいいですね。

西城秀樹は「激しい恋」がベストです。「傷だらけのローラ」と並んで、カラオケの愛唱曲です(笑)
また「ブーメランストリート」「ボタンを外せ」あたりのラインが好きですね。この2曲は三木たかしの曲ですが、僕は三木たかしと相性がいいようです。
あと、曲はそうでもないのですが「薔薇の鎖」のマイクスタンドを倒して歌う姿がカッコ良かったです。

野口五郎はおっしゃるとおり、「19:00の街」に止めを刺します。
ものまね芸人に一番物真似されるのも「19:00の街」ですね(笑)

そして「青いリンゴ」「甘い生活」「私鉄沿線」のアイドル歌謡王道三部作!
たまらないです。「オレンジの雨」のようなスカした曲よりずっと好きです。

それから、ギター持って歌い、アーティスト志向を見せ付けた「真夏の夜の夢」も、色物としていいです(笑)

郷ひろみは「小さな体験」が好きです。「洪水の前」「バイブレーション」もツボです。

山口百恵については、大ファンだったので話が長く長くなりそうで、ここらで失礼させていただきます。長文すいませんでした。

猫ギター | URL | 2008-11-10(Mon)00:24 [編集]


猫ギター先生

まとまりも何もあったもんじゃないぐっちゃぐちゃの“好きなもん語り”に温かなコメント、まことにありがとうございます。

いやもう、歌謡曲については喋りだしたらきりがなく、勢い任せで書いちゃったのはいいけど却ってそのことで欲求不満が募るという、あほな状態に陥っております。
大体、数人の歌手のみ取り上げるのも、また、曲を一つだけに絞るのも、どだい無理な話でありまして、例えば先生がおっしゃるように桜田淳子の『気まぐれヴィーナス』も彼女の可愛さが素直に表れていてお気に入りの一曲ですし、郷ひろみ、田原俊彦なんかの物凄く突き抜けたパッパラものや、『スニーカーぶる~す』、『ギンギラギンにさりげなく』、『ハイティーン・ブギ』に顕著な近藤真彦の“かっこよさの指標がずれ過ぎててわけわかんないのにむしろかっこいいと持ち上げたくなっちゃう”世界も実は大好きだったりします(笑)。

筒美京平に関しては、以前、先生のブログでその名を発見し、失礼ながら、
「わー、強力な理解者がいらした!」
と小躍りしました。
私にとっては彼こそ真の神です。

あっ、ついまた長々と語ってしまいました(笑)。

きすけ | URL | 2008-11-10(Mon)09:44 [編集]