茅屋雑記帳

ボンクラ主婦きすけの気ままな日記

ぶらっと半田

借りっ放しだった工具箱を返しに実家へ行ったがねおみゃあさん(誰だ)。
一家揃って出好きなうち、晴天の休日にじっとしている者など居らぬのは承知なので、
勝手に車庫へブツを置き、さっさと無人の家を後にする。


わざわざ尾州方面まで来たことだし、もう少し足を延ばしてゆるゆるしてこか、と、
知多半島の中ほどに位置する『蔵のまち』半田へ。
こじんまりと落ち着いた地方都市、江戸の頃より酒・酢等の醸造業が盛んであり、また、
『ごんぎつね』、『おぢいさんのランプ』、『てぶくろをかいに』他名作を生んだ童話作家、
新美南吉の出身地でもある。

その南吉の生家へ向かう途中にあった『かわらよし』という和食店にて一寸遅い昼食。
たまには所謂文学散歩などして高尚な香気を嗅いでみるべえか、とか言い合い乍ら、
よさげなお店を見つけるや高尚は後回し、食い気に走る無明の凡夫ら。
なに、食えるうちが花だ。
例のごとくお手頃そうな定食を選んだが、とても凝ったものが一品出しで運ばれて来、
中年夫婦の煤けたハートも忽ち幸福感でいっぱいに。
あーおいしかった、ごちそうさまでした。


で、やっとこさ南吉生家。

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つつましい暮らしぶりがうかがえる内部、炊事場は半地下になっていた。

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ここからは車を置き、南吉が遊んだり説法を聞いたであろう岩滑八幡社、常福院、

光蓮寺へ寄り、『ごんぎつね』の兵十が鰻を獲る川として登場する矢勝川堤に出て、
そのままぶらぶら南吉記念館まで歩く。

新美南吉記念館はなかなかアーティスティックな建物。
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(うまく撮れなかったため半田市HPより拝借)

ちょうど『教師南吉と67人の生徒達』という特別展の期間中で、原稿や日記・書簡等、

安城高等女学校教諭時代の貴重な資料が公開されており、じっくりと見て回った。
生徒たちを支えまた生徒たちに慕われた南吉の人となりが温かに沁み込む思い。
館内には↓のような胸像もあったが、
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通路の奥で秋の柔らかな陽を浴びていた↓の人形のほうが不思議により南吉らしい。
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さて、再び車に戻り、今度は半田運河沿いの蔵町へ。

最初に中埜酒造さんの『酒の文化館』(無料)を見学。
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『男盛りの國盛』ってキャッチフレーズ、大昔CMでよく耳にしたな。

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文化館から続く黒壁の蔵も渋い。

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中ではガイドさんが醸造の歴史や工程を丁寧に説明して下さる。
おまけに飛び込みでも『國盛』の各製品を試飲できちゃったりしたんで、
「せっかく酒どころに来たんやし、あんたは利き酒させてもうてき」
というドライバー様の仰せに従い、
「うん、是非そうするっ!」
二つ返事でいそいそと三種ばかり頂く。
思えば幼少の頃から素直で聞き分けの良い子だと評判だった。

中埜酒造さんにそのまま車を置かせて頂き、徒歩で同族の中埜酢店さんへ。
「♪ ワンッスプーン ワンスプーン ランランランランランララーン」

「♪ 金のつぶ食べよー」
でお馴染みのミツカンと言えばわかり易いだろうか。
こちらも古い建屋を『酢の里』というミニ博物館にし、無料で一般公開している。
歴史コーナーや実際にお酢が造られている発酵室等を興味深く見学。
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運河の両岸に連なる味わい深い蔵群。
“”三に小丸”のこのマークは明治20年・四代目の頃に商標登録されたものだそう。
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近世・近代・現代の建物を一度に望む。

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前後するが、中埜酒造さんから中埜酢店さんへ向かう途中にあった半田市観光協会。
雑穀商であった旧萬三商店事務所(登録有形文化財)の一部を借りているそうだ。
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掛けたままの注連飾りは、三重は伊勢志摩地方の風習に似た意を持つのだろうか。
ググってみたものの不明。


再々度車に戻り、旧カブトビール工場である『半田赤レンガ建物』へ。
ここも中埜酢店四代目の創業。
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昭和18年の工場閉鎖後、戦闘機『隼』で知られる中島飛行機製作所の資材倉庫となり、
ために何度も機銃掃射を受けた。
北側の壁に今なお残る弾痕。
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ぎりぎりで一般公開期間に当たっていたので建物の中へ。
南吉記念館の特別展にしろ、予約もせず國盛を試飲できた(笑)『酒の文化館』にしろ、
行き当たりばったりもいいとこだったのにえらくツイている。
ボランティアの男性シニアガイドさんが懐かしい尾張訛りでいろいろと説明して下さった。
お話し中にパシャパシャ撮影するのも申し訳ないので内部の写真はこのビール箱だけ。
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昔のデザインってむしろ垢抜けて見える。


ほかに紺屋海道も散策したかったが、そろそろ時間切れ、次の機会にとっておこう。

楽しい一日をおおきにさんでした、半田のまち&おとん。

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コメント


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いやー、すっかりお相伴に与り、自分も遠足に行ったような楽しい気分になりました。(あ、でもお酒は自前で用意しないとね。中埜酒造の国盛、大好きです。) きすけさんは、文章に加えてカメラでも、実に鮮やかに世の風景を切り取って見せてくださいますね!

弓 | URL | 2008-10-16(Thu)14:14 [編集]


弓さま

國盛、御存知なんですね!
試飲にもにまにま喜んでましたが、母親の実家が酒屋なので、九九より酒の銘柄を覚えるほうが好きだったなあ、などと子ども時代のことまで懐かしく思い出しながらの蔵のまち散策でした。
実際、どこへ出かけてもついその土地の銘酒の看板に目が行ったり、酒屋さんを探したりしてしまう癖があります。

まっすぐ撮ったつもりが斜めになっていたりと、それこそ見て酔いそうな画像が並んでますが、写真を撮るのって結構楽しいですわー(笑)。

きすけ | URL | 2008-10-16(Thu)18:05 [編集]