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茅屋雑記帳

ボンクラ主婦きすけの気ままな日記

ヤンキー・ドゥードル

先だっての通院日。
病院のホールは各科の受診を終えた会計待ちの人でいっぱい、座る場所さえなかった。
別に辛くもなし、壁際でボーと立っていたら、すぐそばの長椅子に正統派ヤンキー発見。

金のダメージヘアにスウェットの上下、ダルに羽織った刺繍入りトラックジャケットが小粋。
足元だって、霙降る余寒に動じぬ男気が眩しいハイビスカス柄の常夏サンダルだぜ!
よく似たいでたちの彼女(奥さん?)に付き添ってきたらしく、そちらは眼帯を付けて、
「めーぼに目薬さしてもうただけやのに、えらい待たされなあかんねんなあ」
ため息をついている。                      (:めーぼ=ものもらいの意)

そこへしんどそうにやって来た腰の曲がったおじいさん、なのに彼は知らん顔。
所を選ばず気軽に厠座りできるのもヤンキーの特性やろ、はよ代われや、とは思っても、
くそチキンなばばあ、せいぜいわざとらしく非難の視線を投げることしかできない。

だが、少し経ってはっとしたように立ち上がり、
「あ、すんまへん、座って下さい」
おじいさんに声をかけると、彼はそのまま壁際のスペースへ移動した。
何のことはない、おじいさんの姿に気付くのが遅れただけ。
彼は“ヤンキールックを好む普通の人”だったのである。
うがが、めっさ恥ずかしいやん、私。


ところで。
冒頭にも表れている通り、普段私は人の見た目だけを取り上げてヤンキー呼ばわりする。
ゆえに彼のような“ヤンキールックを好む普通の人”も含まれる。
が、真性ヤンキーとなると、またちょっと違う。
個人的に“真性”として勝手に認定しているのは、
「すみません」
のひとことが言えない人間だ。

遅刻を咎められて逆ギレする奴。
「しょうがないでしょ、私にはこれこれこういう事情があったのっ!」
時間は守らねばならんという常識の部分、社会と私・他人と私を理解で結ぶ初めの一歩、
まず先に立てなきゃいけないそれをあっさり放棄している。
「すみません」
のたったひとことを出し惜しみする者の事情なんか誰も汲もうとはしない。

校則違反を繰り返しておきながら先生に注意を受けると、
「学校が面白くないからだ」
グダグダ反抗するガキも同様。
「すみません」
のたったひとことに思いが至らぬ者は、面白い場所のほうからイラネとはじき出される。

それこそ『ヤンキー・ドゥードル』で歌われちゃっているジョージ・ワシントンは、
子どもの頃、
父親が大事にしていた桜の木を切ってしまい、
「すみません、僕がやりました」
自ら名乗り出て褒められた。
あほみたいに有名な話だが、大昔のよいこたちは先生や親からそう聞かされ、
「勇気がある人ほどきちんと頭を下げて偉くなれるんだなあ」
じーんと胸を熱くしたものである。
どうも実話じゃないらしいとはかなり後になってから知った、あの感動を返してくれ。

ただ、勇気がある人ほど頭を下げられる、みみっちい人間だから頭を下げられない、
それは事実だと思う。

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