茅屋雑記帳

ボンクラ主婦きすけの気ままな日記

あったかいんです…

朝。
週の中頃遊びに来る予定だった友より、平日は急にバタバタ用が立て込んできた、との電話。
だが、おっさんが出張中で明日の晩まで私一人だと知るや、
「あっ、じゃあ、今から会いに行ってもいい?
 善は急げやし」

こっちに異存などあるもんか。
早速クルマで一時間強の距離を訪ねて来てくれた。

つい先日、最寄りのスーパーにて幼稚な姿を見せちゃったばかり、ちょっと照れくさかったが、
お互いガハハタイプのおばはんゆえ、玄関を入るなり双方おやじギャグの乱れ打ちである。
それが、もう、楽しくて楽しくて。

「○○くん()がいてたら、めっさ呆れるやろなあ」
「いや、奴ぁとっくに耐性ができとるわ。
 ときどき茶々入れてくるかもしれへんけど」
「むはははー、やっぱ今でもかいらしい子ぉなんやー。
 それにしても、ちっちゃいときの○○くんは、ほんまおっちょこちょいやったなあ」
懐かしげに笑う。

そうそう。
そのおっちょこちょいが危ない用水路で遊んでたり、チャリ飛ばしてたりてなとこを目撃すると、
「こら、○○っ! あほなことしとったらあかんやん!!」
ビシバシ怒り倒してくれるひとだったんだよね、あなたは。
どれほどありがたかったことか…。


私みたいなスカタンに対してさえ歩を合わせてくれるだけあり、彼女は性格・頭脳共とびきり。
彼女の嬢も、おかん同様性格・頭脳共とびきりで、私が怒るような場面は一度もなかったが、
会えばいつも挨拶以上の近況報告をしてくれて、返す言葉にゲラゲラと可笑しがってくれて、
「むはははー、はあとなおんなのことあれこれ語り合えちゃったわん」
爽やかな風が心を撫でた、何だかとてもうれしかった。

伜よりいっこ年下である嬢は、東京の難関大学に見事合格し、やはり親元を離れたそう。
んで、電話をする度に、
「おかあさん、ごはん作るのめんどいよー」
と、こぼすこの頃らしいんだが、ちゃんと作ってなきゃ言えない言葉。
相変わらず真面目でいじらしい子ぉやの。
おかんだけでなく、嬢の住む東方に向かっても、おやじギャグを叫びたくなった。


思う存分馬鹿話をして、思う存分ツッコミ合った、おもしれえ一日。
友よ、ほんとうにほんとうに、感謝。
あなたのクルマを見送り、なんかまた、ぽろぽろしちゃったよ、あったか過ぎて、さ。

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婆が葱しょってどうしよう

実は今、密かに心配事を抱えている。
ただ、表題を含めいとも簡単にしゃべくろうとしている事柄のどこが密かなのかについては、
よくわからない。

メシがらみの話ばかりでなんなんだが、私は葱が好きだ。
薬味、鍋物・汁物には勿論、炒め物にも多用する。
太い白葱なんかは、ブツ切りにしてこんがり焼くだけでも美味しいんだよなあ。
身体を温める性質があり、風邪予防にも良いそうで、年々寒さが苦手になってきた我々には、
まさにうってつけの野菜。

しかし、この葱がいいお値段で、春先から現在までずーっと高騰したまま。
これからの季節こそたくさん摂りたいのに困ったものである。

などと思っていたある日、楽天市場より宣伝メールが届いた(毎日届くけどな)
相変わらずごたつき感あふれる構成の中、ふと目についたのがなかなか立派な葱の画像。
つい誘われるようにクリックしてみたところ、
『産地直送深谷葱予約販売、送料無料2kg1000円、2セット購入で1kgおまけ』

太さにもよるが、1kgは大体5~7本に相当するらしい。
間をとって6本とすると、1セット12本か、どっちにしてもこの辺のスーパーより安いな。
2セット買えば2000円で5kg30本、お得じゃん。
半日ほど考えて、寝る前に2セットでポチした。

だが、その翌日から、大量の葱の想像図が頭を離れなくなった。
家事をしていても、
「葱30本…」
ワードに向かっていても、
「葱30本…」
風呂に入っていても、
「葱30本…」
こうしてしょぼい日記を書いていても、
「葱30本…」
いくら好きとは言え、はたして食い切れるのか。
婆が葱しょってどうしよう、なんである。

『お届けは、来月上旬頃』
だそう、土付きなんで新聞紙にくるみ冷暗所に置けば一ヶ月程度持つ、とは記されていた。
加えて、三ヶ月予報でも“当地方の十二月は平年気温を下回り寒い”と発表されたことだし、
大丈夫であろう、うん。
ただ、寒さが苦手だから頼んだ筈なのに、寒いと聞いて安堵するこの妙な心理については、
やっぱりよくわからない。

もうこうなったら無い知恵絞ってあれこれ新しい葱料理をも編み出してやろうではないか。
数打ちゃ一本くらいはホームランになるかもしれぬ。
ならんでも知らん、ひたすら食うのみ。
花形
来たまえ、星くん!

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うれしいな

味がよく染みるよう朝もはよから里芋の含め煮を拵えたはいいが、絹さやがない。
供する際に柚子皮の細切りと共に添えると高級感が出るんだよな、ただの芋の煮たのでも。

ってことで、いつものスーパーへ。
スーパーかドラッグストアかポストか病院かごみ置き場くらいしか行くところがないのか、
おまえは、と、自分にツッコミを入れておこう、ヒマだし。

入口に向かうと、数少ない友の一人が!
元は御近所さんだったが、四年前に別の市へ越したため、ずっと会っていなかった。
今日は用事でたまたま通りかかり、このスーパーに寄ったんだそう。

「ちょっと、あんた、何なん?
 病気したとは聞いとったけど、電話やメールのひとつもくれずにー」
言うそばから涙目になる彼女。

こっちもつい胸が熱くなり、ぽろぽろ涙をこぼしてしまった。
いいトシこいて…ではあれど、自分が結構さみしがりやだったのを思い出した。

来週、あらためて遊びに来てくれるとのこと。
うれしいな。
絹さや買い忘れててよかった。

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くだらないブログ

私ゃ時事問題について意見を述べたためしがない。
軽薄なババアが底の浅い評論をしたところでどうなる、ってのが一番の理由。
意見を述べない、のではなく、述べるに値する意見を持っていない、のだ、要するに。
また、余計なことを言えば鬱陶しい粘着さんのコメントが来たりするんで、それも面倒。 

今回の北の砲撃に際し、一連の報道を見て強く思ったのは、
「江畑謙介さんは、本当にお亡くなりになったんだなあ」
ということであった。

やれやれ、なんてくだらないブログなんだろう。
別に居直っているわけではない、心底よりの本音だ。

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どれだけお世話になったやら②

23歳の初冬の日曜日。
名古屋東部のちょっとハイソ(←死語か?)な街でウィンドウショッピング。

当時は所謂『DCブランド』てのが花盛りだった頃、その辺りには小洒落たお店が並んでい、
スカしたファッションビルも幾つかあったが、『DCブランド』自体に別段ぴんと来なかった私は、
いつも斜め見、バッグから財布を取り出さない冷やかし客だった、やな奴ですな。

その上、『DCブランド』のタグを縫い付けてあるだけでさほど新鮮でもないデザインの服が、
えーっ?、な値段で売られていることに
「こんなの、自分でも作れそうな代物じゃん」
聞こえぬような声ではあるが、一人ブツクサ呟いたりして、やな奴でしたわ、かさねて。
ガサツもいいとこのムスメながら、どういうわけだか裁縫に限っては好きだったのが可笑しい。


おやおやいきなり脱線、冒頭に戻ろう。
その23歳の初冬の日曜日も、特に目的とてなく、ただぶらぶらしていただけの私だった。
だが、あるお店で見かけたスタジャンがとても気になり…。
『NICOLE』のものである。

珍しく手に取り、はおってみたら、結構ずしり。
そりゃ重いに決まっとるわな。
しっかりしたウールメルトン、同生地できちんと裏打ちしてあり、おまけに袖はごつい牛革だ。
でも、何故だろう、自分の身体に合うしっくり感、みたいなものを覚えた。
幅だって些か余り気味だったけれど、
「あ、私の」
と思った。

上記のような素材ゆえ、当然、値段も高い。
なのに、どうしても欲しくなってしまった。
足りない分は後日持参で良い、とのこと、有り金をはたいて一緒に帰った。

以来、このスタジャンは無二の親友になった。
色合いも気に入っていたし、何しろ温かい、ダウンジャケットよりうんと。
大袈裟に思われるかもしれないが、これはバイクに乗ってはっきり体感した。


そして…
驚くことにこの人は、今も無二の親友でいてくれている。

大好きなスタジャン

四半世紀もの間、毎冬着続けてきたにも関わらず、殆どへたっていないのだ。
デザインの新古についてはともかく、 質的な見た目においては、
「五年前に買った」
と言っても、普通に信じてもらえるんじゃないか。
また、相変わらずずしりと重いのに、トシくった現在でも不思議に肩が凝らないということは、
やはり自分の身体にしっくり合っているのだろう。
「あ、私の」
だったのだ、間違いなく。


まあしかし結局は、婆のケチ自慢・物持ちの良さアピール、てなしみったれ感がプンプンし、 
我ながら頭を掻いてしまったりもするわけなんだが…。

何はともあれ、これからもどうぞ宜しくお願いします、無二の親友よ。

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どれだけお世話になったやら

わざわざ断るまでもなく、おまえの日記をチラとでも読めばすぐにわかるワ、な話なんだが、
私ゃ実にガサツな婆である。
若い頃からそうだった。

料理もど下手で、母親がいないときは主に姉が家族の食事作りを担当。
彼女は就職すると毎日お弁当を作って出勤していったが、私ゃそんなこと全然やんない。
会社のそばにあるいくつかのお店でテキトーにランチまたはサンドイッチ等を購入していた。
やはり毎日奥様手作りのお弁当を持って来ていたおじさま方から、
「きすけちゃんも将来のため煮物くらいはちゃんと作れるようになっとかないかんぞ」
よくそう言われたけれど、
「はーい」
元気に答えるのみで終わり、若い頃から口だけ星人でもあったわけだ。

それでも、おじさま方の忠告は頭の隅に引っかかっていたのか、ある日書店へと寄った際、
いつもならさっさと通り過ぎる料理本コーナーでふと一冊の本が目に留まり、何となくレジへ。

これだ。
煮物の本
(初めは透明のカバーも付いていたのだが、とっくに破れた)

つい手を出してみたものの、家に帰ってぱらぱらめくった感想は、
「だ、駄目だ…」
である。
『魚を煮る』・『野菜を煮る』・『肉を煮る』・『豆・豆製品を煮る』の四章から成っているのだが、
まず『魚を煮る』のところでその下拵えの面倒臭さに気持ちが萎え萎え。
結局、書棚の下段のほうにひっそり並ぶだけの存在となった。

ところが。
何年かして、この本は、日の目を見ることに。
どこでどう踊っちゃったのか、結婚が決まったからである。
「煮物くらいはちゃんと作れるようになっとかなまずいぞこりゃ」
自身、ひどく焦り、式の日が迫り来る頃慌ててこの本片手に台所に立った。
そばで見ていた母親は、私のトロくさい手つきに笑いつつも、何日かするうち
「料理本ってすごいね」
と感心。
書いてあることをきっちり守って作れば、トロくさい奴でもそれなりの味に仕上がるからだ。
ただ、私は、全く別のことを感じた。
このようにいちいち料理本を見ながらもたもた時間をかけてようやく一品、な馬鹿と違い、
勘と目分量でぱぱっと美味しいものを作れる母親や姉は、料理本同様すげえな、と。

で。
ずいぶん傷んでしまったが、この本は今なお現役。
満身創痍1 

満身創痍2 
満身創痍3 
満身創痍4 
 

長い歳月を経、我が家風の味に変えてはきたけれど、基本はここに在る。
これからもどうぞ宜しくお願いします。

28年前って… 
それにしてもさあ、初版が昭和57年って…。

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虹とスニーカーの頃

高校時代。
選択の授業で視聴覚室へ移動、いつものように窓際の席に着いたら、その机に
         
       【   わがままは 男の罪
         
           それを許さないのは 女の罪  】
当時流行っていたチューリップの『虹とスニーカーの頃』の一節が落書きしてあった。

何となく、
         
       【   助平は 男の罪
         
           それを許さないのは 女の罪  】
その下に書き加えておいた。
(勿論鉛筆書きでっせ、どっちにしても褒められたこっちゃないが)

しばらく経ったある日、
「おい」
大変に人気のあった違うクラスの男前が声をかけてきた。
私もこっそり彼を素敵だと思っていたが、それまで話したことがなかったのでちょっとドキッ。

「あれ書いたの、あんたか?」
「?」
「助平は男の罪、ってやつ」
「あーあー、はいはい、何でわかったの?」
「筆跡も似とるし、こんな馬鹿くさいことを書くのはあんたぐらいのもんかもしれんとAが言っとった」
そのAとは、去年同じクラスだった男子で、謂わば喧嘩友達みたいな相手。
(
くっそー、Aのやつ、余計なこと言いやがって!)
心中歯噛みしたが、男前の彼は、
「上手いな」
爽やかに笑って立ち去った。


十数年の時が流れ…
親子三人、名古屋の東山動物園に行ったところ、やはり家族連れで来ていた彼とばったり。
お互い幼児の親ながら、相変わらずの男前だ。
向こうから声をかけてくれ、ものすごくうれしかったのだが、
「♪助平はー 男の罪ー」
すかさず歌いだす。
赤面した。

若かった、何もかもが。

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かっこいいとは、潔いということだ

ここ四、五年、御当地マスコットキャラが続々誕生。
全国大会的な催しもあちこちで行われているようだ。
賛否両論あれど、基本、我がまちを愛する、という姿勢によるもの、結構なことではないか。

で、この人。
北海道では有名な存在らしい。
marimokkori.jpg
(
オフィシャルブログより勝手に拝借)

“まりもっこり”よ、君のゆるくない潔さには、心底敬服する。
かっこよすぎ。

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アイシテル…

  注意  
かなり気持ちの悪い内容ですので、
「しょうもねえ無能婆が今日はどんなたわごとをほざいているか」
と、嫌なもの見たさや冷やかしで覗いていらっしゃる方は、直ちに閉じるが吉でございます。
まして、わざわざ誹謗・説教コメントまでお寄せ下さる方においては、なおさら。
たとえ何様だろうと私にすりゃどうでもいい人間の言に、だーれが左右なんぞされるもんか。
そこんとこよろしく。

     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

先週アタマ、伜に電話。
「あんた、誕生日はやっぱ忙しいん?」
「いや、そうでもない、ちょうど金曜の午後と土曜がまるまる休講になるらしいんねん。
 あ、せや、そっち行こかな」
「そうしぃなあ、たまにはいいお肉を奮発して、しゃぶしゃぶでもしたげるわ」

思えば。
去年のトマトは青くて硬かったわー♪
じゃなくて、去年の伜の誕生日は、脳外科の検査入院とぶつかってしまった。
奴にはまだ伏せていたときだったんで、予めプレゼント代わりの図書カードを郵送しておき、
当日は病院へ行く前に急ぎ、
    【   十九歳だね、おめでとう  】
ってなメールをしただけ、実に味気なく過ぎたのである。

さて、金曜夕。
「今、市内に入ったよって、あと十五分くらいで着くわ」
GSからの連絡に表へ出、やきもきしつつ待っていたら、黄昏の中ひらり現る生意気ライダー。
けどまあそのさまも、ずいぶん板についてきたような…。
メットを脱ぎながら、
「あーあ、俺も明日にはおっさんの仲間入りか」
だと。
そんなことをぬけぬけと言えるケツの青さにプッ。

おとんは出張で遅くなるため、誕生日イブの晩御飯は伜と二人。
奴の大好物であるポテサラは外さんが、あとはじゅうじゅう秋刀魚を焼き、お味噌汁を拵え、
強制的にもずく酢を食べさせるといった、昔ながらのフツーのメニュー。
んでも、
「ふうー、満足満足」
そりゃそうだ、御飯茶碗でなく大丼へ日本昔ばなし盛りにしたメシをぺろり、だもんな。
帰ってくる度その食いっぷりにあらためて驚かされる。

そして、もっと驚かされたのは、次々に届くハッピーバースデーメールだ。
日付が変わった途端、来るわ来るわ、私があれこれ近況を聞いている間にもひっきりなし。
「あんたって、親しい人が仰山いてるんやねえ」
「うん、癖の強い人間ばっかやけど、男女を問わずみんなおもろいでー」
母親とは似ても似つかぬさっぱりした社交家に育ってくれ、マジで有難い。

土曜は、プレゼントの冬物アウターを買い求めにショッピングモールへ。
これがいい、そんなのださい、でもあんたにはよう映る、などと言い合い、色々手に取り…。
不意に思い出した。
「ああ、買い物ってのは、こんなにうきうきするイベントだったんだなあ」
と。
その晩のしゃぶしゃぶも、やたら美味しかった。
いいお肉だってことだけじゃなく、ひと味もふた味も違った。

明日の日曜は午後からバイト、朝早く帰るそうな。
お風呂上がり、たわむれに
「ひっさびさに耳掃除したげよか?」
何となくからかってみた。
それなのに、
「お、ええなあ、ちょい痒かってん」」
長ぇ脚をでろーんと伸ばし、何の拘りもなく婆の膝に頭を乗っけてくるんで、ぽかーん。

そうだなあ…小さな頃のこの子は耳掃除が大好きで、しょっちゅうせがんできたものだ。
そーっとほじってやるうちにうとうとし始める横顔が、たまらなく可愛かった。
「アイシテル…」
なんちゅうこっ恥ずかしい言葉を、声にならぬような声で密かに呟いたっけ。

ただ、そんな懐かしい光景を眺め、
「儂もついでにやってくれ」
おとんまででろーんと横になり、大笑い。
んで、
「うーわっ、おとんの耳垢、めっさべたべたしとるやん、きっしょっ!」
「そそ、あんたのはかさかさやでまだマシやけど、おとんのはどうも黴菌だらけな気ィするわ」
「やかまし、人間粘りも大事や!」
いいおとなが三人かたまって好き勝手にぎゃあぎゃあ。
なかなかブキミな親子である。


伜が行っちゃえば、家の中はまたしーん。
それでも数日は余韻を楽しめるわけで、○ちゃんは、○ちゃんが、○ちゃんてばさあ…と、
ついつい奴の話ばかり繰り返す。
おとんは、ただ、にこにこ。
「なに? なんか変?」
「いや、あれの話をしとるときのあんたは、とろんとろんの顔になるなあ、思て」
「いじらしいやろー、ぐわははははー」

だが。
出逢ってから二十数年、辟易しているはずの婆相手にこんなことを言ってくれるおとんにも、
「アイシテル…」
こっ恥ずかしい言葉を声にならぬような声で密かに呟いてしまうのであった。
うむ、なかなかブキミな夫婦である。

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小心者のジミー

午前、葉書を投函すべく徒歩五分のところにあるポストへ。
マンションを出てすぐ向こうから、私より少し年上かな、くらいの女性がやってきたのだが、
何故かじーーーっとこちらを凝視。
つい反射的に俯いた。
すれ違うときも首を回すようにしてこちらを見てゆくのが視野の隅に映り、???…。
しばらく経って振り向くと、やはり彼女も振り向いている。

私は、黒×グレー×白のチェックのネルシャツにダークグレーのカーゴパンツ、てないでたち、
「やあ、みんな、街でおいらを見かけたら気軽に“ヘイ、ジミー”と声をかけてくれよ!」
と言ってもいいほど、通りすがりに顰蹙を買うような派手ななりではない。
「な、なんだよ…私の顔にハナクソでも付いてるってのか?」
ひどく不安になったが、引き返すのも妙な話、おどおどしながら歩いた。

マンションに戻り、管理人さんが敷地の掃き掃除をされていたので挨拶。
「ああ、お帰りなさい」
いつも通り普通に笑顔を返して下さり、別にどこも変ではないのだな、と、ひと安心。
ちょっとお天気の話などしてエレベーターに乗った。
部屋の玄関の鏡を覗きこんだが、ハナクソなんか付いてはいなかった。

それにしても。
一人の見知らぬおばさんの挙動により、たった十分の外出がああまで長く感じられるとは。
「やあ、みんな、街でおいらを見かけても“ヘイ、小心者のジミー”と呼ばないでくれよ!」
こう言わねばなるまいヘイヘイホー。

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クソババア

先月半ば、かかりつけの先生に、
「きすけさん、入院レベルの貧血になっとるでー」
結構脅かされ、
「やだやだ、入院だけはやですっ、はい!」
と、半泣きで焦ってしまった。
なかなかお医者様との縁が切れぬ。


なのにマンション内や近辺じゃ変な噂が一人歩き、それをまた御丁寧に
「○○さんたちがあなたのことこう言ってたわよ」
などとわざわざ御報告下さるお優しい奥様もいたりする。

「興味津津な面下げて訪ねて来ながらよくもまあ…。
 賞味期限二日過ぎとるけど、消費期限じゃないよってええわな。
 この人胃壁も厚そうやし」
おっさんがずいぶん前によそで頂いてきたマドレーヌを紅茶と共に出すクソババア。

二人暮らしのうえ洋菓子って好きじゃないんで持て余すことが多い。
だが、どうしよう、と苦にしていた残りの四つをぺろっと召し上がり、御親切の押し売りをし、
上機嫌でお帰りになられた。
私もこっそり要らんものを押し付けることができ、何となくせいせいした。

表向きはにこにこしつつしっかり溜飲を下げている私の神経は針金の如く強靭だ。

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十一月

伜の奴がちっとも連絡をよこさん。
どれくらい我慢できるかいっぺんおのれを試してみよう、と、電話もメールもせずにいたが、
胸がざわざわしてしまい、三週間経たずに限界が来た、癪だ。


     【  ちょっとあんた生きとんの?    】

痺れを切らしてメールしたところ、五時間ほどして、

     
     【  ほいほ~い 生きとるで~

        何なら金送ってくれてもいいよ
        愛してるぜマミー         】

そういう調子のいい奴だったよっ、あんたってのは昔からっ!!

そんな伜も今月はたちになる。
早いものだ…。

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