茅屋雑記帳

ボンクラ主婦きすけの気ままな日記

収集

人には、何故だか知らんがつい欲しくなってしまう物、ってのがあるようだ。
私の場合は便箋&封筒。
若い頃からやたら考え無しに買い求めてしまい、あほかと思うくらいわんさかたまっている。
流石に近年は自重、手紙なんぞちっとも書かねーくせに今ある分だって一生じゃ使いきれんわ。

これは封筒のごくごく一部なのだが、
和封筒 
五桁の郵便番号枠がそぞろに哀しい。


その、何故だか知らんがつい欲しくなってしまう物、昨春くらいからまた出てきてしまった。
箸置きだ。
箸置き 
昨年から現在まで外へ出られぬ時期が何度かあったのでさほどにたまってはいないものの、
私は器のお店やデパートの食器売り場を覗くのが大好き。
中でも箸置きというのはちっちゃいのに意匠を凝らした物が多く、やけに惹かれるのである。

で。
実は、かに道楽・かに本家等でお馴染の
箸
このかにの箸置きも欲しい、すごく。
かにの箸置き 
販売している店舗もあるそうだが、余分の箸を家に持ち帰るせこい奴が自腹で行く店ではなく、
なかなか難しい。

ところで。
伜は箸置きのない飲食店へ入るとこのように…
箸置き(笑) 
自分で作る。
母親同様、時折妙にビンボ臭いことをする男である。

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ちっ

またひとつトシとってもた。

当日の朝、
「 ♪ ババアの階段のっぼる~ 君はまだ シンデレラさっ  」
やけっぱちで歌う古畳妻にがははと破顔するおっさん。
うむ、私の足は堂々の25cmであった、昔から。

夜になって、伜より電話が。
「おかん、今日って誕生日やったよなあ?
 長生きしてくれよ」
だと。

ちょ、あんた、出し抜けにそんな言葉を聞かされても…。
返事に困るではないか。

実際、いつもなら、
「誕生日なんか祝うより呪ってほしいワ」
とか憎ったらしくブーたれる奴が、
「おうっ、合点承知之助だ!」
慣れぬ事態に狼狽し、何故だかわけわかんねえ江戸っ子になってしまったことである。

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巷には、何かってーと『情』ってものを持ち出す人間がいる。
嫌いだ。
この人の横で、
アニマル 
「きらいだッ きらいだッ きらいだーッ! オイッ! オイッ! オイッ!」
と叫びたくなるくらい嫌いだ。

『人の情』を求める、というのは、時と場合によっちゃ仕方なかろう、人である以上。
が、『自分の情』のアピールに励む、というのは、非常に恥ずかしい。
大体、現実でもネット上でもそんなことをやってんのって日頃からださいと思う奴ばっかだし。

やたら他人の相談相手になろうとする知人。
「私は情が篤いから損ばかりしてるけど、それでも人のことがほっとけんのやわ」
が口癖。
話を聞きつけたかつい昨日も電話があり、やはり何のためらいもなくぬけぬけそう言うので、
危うく噴き出すところだった。
常に“困り事募集中”てな顔してガツガツと他人の情報漁りをするただのさみしがりおばさん、
実際はそうでもしてなきゃ自身が自身の存在を確かめられないのだろう。

「困ってることなんかなーんもあらへんのですわー。
 ごめんなさいねー」
わりと冷たい言い方をしてすぐに受話器を置いた。
なに、損ばかりしている情の篤い人とやらは、“折角心配してやったのにまた損をした私”に、
かえって満足したはずだ。

私はこれまでいろいろな局面においてさまざまな人から『情』を頂いてきた。
別段大袈裟に感動的な形を取っていなくとも、ほんのちょっとした言葉や態度に滲む『情』、
物静かで目立たぬそれに救われたことだって数限りなくある。
そういうとんでもなく有難いものを毎朝の排便に等しいような物言いで扱われたくはない。

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モテない奴

バレンタインデーでーす♪
今夕まで他県へ出張中のダーリンのためチョコを手作りしちゃいましたあ♪♪
                                勿論そんなの真っ赤な嘘でーす♪♪♪
チョコなんか買ってもいねェや、それよか番茶に赤福てなおっさんだしよ…カーン(←鹿威し)。
その代わり晩飯にはおっきなエビフライでも拵えるべ、好物だしよ、私の…スカーン(←頭の中)。



バレンタインデーと言えば。

遠い遠い学生の頃、特にどうとも思わぬ相手からチョコを請求されたんで、
「カレールウだったらあげるわ、一応見た目だけは似てるでしょ」
むすっと答えたところ、
「おまえってほんと性格悪いなっ!」
ひどく呆れられた。
そんな私は、当然、モテなかった。

自分自身、よくもまあ結婚などできたもんだ、と思う、いまだに。


やっぱりチョコ買って来ようかな、たとえ近所のスーパーのありきたりなのんでも…。

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ピンポン

やっぱり鳴った。
余ったみかんでなく余ったゴーフルを手に、
「聞いたわよ、なんか調子悪かったんやて?」
変な趣味を持つ主婦のお出まし。

ちょうど蓮根のきんぴらを作り終えたところで部屋中胡麻油のにおいがぷんぷんしており、
さも台所のやりかけ作業が気になる、ってな胡麻油よりくっさい演技なんかをしてみたため、
玄関で聞き込みだけして帰ったが、
「○○さんや△△さんも何があったんやろって心配してたよ」
おいおい、もうマンション外の人々にまで伝わってんのかい。
その上、
「またゆっくりおじゃまするわ、私でよかったら何でも聞いてあげるからね」
うへー、馬鹿も休み休み言え、休んだままでいろ。

まあ何にせよ案の定過ぎて笑えたせいでいつもよりは愛想が良く見えたんじゃなかろうか。
底意地の悪い私ゆえたまのことならちょっと面白かったりするしさ。

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私の生活

先月末あたりからすぐ近所へ買い物に行くくらいのことならできるようになったものの、
ウォーキング等の運動はまだ許可がおりない。
おとんの故郷である伊勢の神宮さんや私の故郷である名古屋の熱田さんさえ行けておらず、
一月中に、という初詣の時期を見送ってしまったわけだが、神様は神様で、
「おまえみたいに“一獲千金”とか“棚からボタ餅”風の図々しい願い事ばっかり唱える奴は、
 そう早よから来んでもよし!」
とおっしゃることであろう。


まあ、ちょっと外へ出るだけで身体が芯から冷え切って血の気の失せた顔色になる有様、
かなり陰気臭い気を漂わせているらしく、先刻も徒歩五分のドラッグストアに行ったところ、
「んま、あなたどうしちゃったん?
 しばらく見やへんうちにげっそげそのひょっろひょろやん!」
同じマンションのでら苦手な知り合いに出くわし、大声で驚かれてもた。
態々説明すんのも面倒だし、体調を崩していた程度に答えて作り笑いを浮かべ立ち去ったが、
明日には余ったみかんか何かの袋を下げてピンポンする別の知人も出てきそうだ。
普段は存在そのものさえ大して気にかけていない相手の“事情”を聞き回り、触れ回るという、
不思議な趣味を持つ人々って、どこにでもいる。

一見陰気臭く思われがちな生活でも特に苦にならないってか、自分なりに楽しめちゃうんで、
ストレスなどは皆無である。
たとえ陰気臭い気を漂わせていようが、生来愛想のない顔つきと見る人の解釈によるもので、
本人は地味にピーカン、あっけらかん。
でも、私のこの生活に上記の人々が踏み込んで来そうなときだけは何だか身構えてしまい、
少しばかりストレスを感じる。


青いなあ…ばばあのくせに。

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ハナクソの教え

大昔、会社勤めをしていた若い頃のこと。

ちょっとした問題が発生し遅くなった帰りの地下鉄車内は空いていた。

同じ駅から乗り、向かいのロングシートの端に座った中年男性。
髪は七三、営業スーツにネクタイをきちんと締めた真面目そうな形姿で、酔っている風もない。

にも関わらず、いきなりハナクソをほじりだした。
よほど頑固に貼り付いているのか、親指と人差し指で穴の内外をぐいぐいと挟むようにし、
夢中で作業に勤しんでいる。

げげげ…と引きながらもつい上目遣いに様子を窺っていたら、めでたく取れたよう。
今度はじっと人差し指を見つめる。

「わっ、どこかへ飛ばすつもりだろうか」
思わず身構えた途端、視線がぶつかった。
男性は少し困ったような表情を浮かべ、その人差し指を再び穴に。
そう、ハナクソを鼻の中に戻し入れたのである。

ぴんと弾く瞬間を目撃するよりも強い緊張感が走った。
が、男性は次の駅で降りていった。

「世間ってものは広い、世の中には本当にいろいろな人がいる」
私は魂が抜けたような心地でその背中を見送った。

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