茅屋雑記帳

ボンクラ主婦きすけの気ままな日記

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年寄メシ

伜がよそへ行ってから、ぼけーっとした日々のぼけーっぷりがさらに甚だしくなったようだ。
いっそ“きぬけ”とでも名を改めようかしらん。

先週の金曜夕、晩御飯の買物に出た際、久しぶりにふらふらと近所を散策してみた。
カワセミに会える狭い川に沿った小道は両岸に桜並木が続き、まさに至福の景観だったが、
日永の春を何故に急ぐか、自転車の中高生たちが快活な速さで通り過ぎてゆく。
つい先日迄の三年間、当たり前に馴染んでいた制服の少年も私の脇をすいすいと走り抜け、
その後ろ姿を認める度、鳩尾の奥をぎゅっと手掴みされたような心地になってしまう。
一方、やたらいかにもな陶酔にケツがむず痒くなりもしたのだった。

ただ、おっさんおばはんの慣れぬ二人暮らしも、それなりに平穏である。
長年一緒にいると、お互いの性分の違いにいちいち疳を立てることさえ億劫だし、大体、
“アナタ”と“ワタシ”しかいない状況で今さら性分の違いなんかを口にすること自体、愚。
何にせよ、折角ブログという気楽な場を借りているのに書く種が浮かばぬほど静かな毎日だ。


ウエットに呆けていても仕方ないので、最近の晩御飯のメニューでも並べておくことにしよう。
もれなく極私的一口メモ及び無意味な蘊蓄付き。


四月六日()
     ※ 鶏の磯辺焼き(椎茸)
            鶏挽肉に微塵切りの葱、生姜、卵白(卵黄は別に使用)を混ぜ込んで、
            扁平な円形にまとめ、1/4に切った海苔をくっつけてフライパンで焼く。
            椎茸の網焼きを添えた。
     ※ とろろ納豆(卵黄、葱)
            ねばねば+ねばねば=むしろ後口さっぱり、となるのが不思議。
     ※ 味噌汁(豆腐、若布、葱、揚げ玉)

   七日()
     ※ あさりの酒蒸し(三つ葉、昆布)
            時々砂出しの様子を覗くとなかなか面白い暇つぶしになる。
            但し、変に情が移るので、調理の際ナンマンダブを唱える破目に。
     ※ 信田卵(春菊)
            料理名こそ粋だが、要は袋にした油揚の中に卵を落とし、煮含めたやつ。
            伜の弁当の定番でもあった。
            軽く下茹でした春菊を残りの煮汁にさっと絡め、添える。
     ※ もずく酢(胡瓜、山葵)

   八日()
     ※ 温泉宿風湯豆腐(水菜、油揚、薬味葱)
            出汁に料理用の重曹を少々入れると豆腐が柔らかくとろける。
            一寸だけ高い京揚を使い、ついでのふんわり感を愉しんだ。
     ※ しらすおろし(胡麻)

   九日()
     ※ 豚牛蒡巻きの照り煮(ししとう)
            仕上がり際にししとうを加えてしばし煮、添える。
     ※ 茹蛍烏賊の辛子酢味噌和え
            ちまちま目を取る下拵えにはいらつくが、今が旬なので安価且つ美味。
     ※ 韮のお浸し(花鰹)
            韮は比較的値段が安定しており、もやしに次ぐお助け野菜ながら、
            さっと湯がくと上品に甘くなり、大衆的なイメージが一変する。
            根元を糸で縛って茹で・晒し・絞りをし、そのまま長さを揃えて切った後、
             筒状に盛って出汁に浸し供すると、何となくツウな気分に。
             みずからも自己満足のお浸しになれる。

   十日()
     ※ 霜降り鰺の開き(大根おろし)
            門司港・『じじや』製、肉厚で大きく非常に美味、少々値は張るものの、
            このくらいの贅沢は味方だ!と勝手に決め込み、取り寄せている。
     ※ 牛蒡と人参のきんぴら(炒胡麻、鷹の爪)
            牛蒡は大抵二本1P売りなんで、昨日の残りがなかなか使いきれん。
     ※ ほうれん草の胡麻和え
     ※ 味噌汁(玉葱、えのき茸、油揚)

   十一日()
     ※ 切り出し鮪の竜田揚げ(茄子、ししとう、人参、レモン)
            山盛りパックで安く売っている刺身の切り出しに下味をつけて揚げる。
            形は不揃いになるも腹の中に入れば一緒。
            上記野菜の素揚げを添えた。
     ※ 生姜牛蒡飯(油揚)
            ささがき牛蒡とどっさりの千切り生姜と油揚のみを炊き込んだ御飯だが、
            そのシンプルさが却って美味しい、やっと牛蒡を全て消費。
     ※ 切干大根と桜海老の含め煮
            ずーっと前に近所の居酒屋のランチで食べたのを真似た。
            出汁をきかせて白醤油で上品に炊くと切干本来の甘さが引き立つ。

   十二日()
     ※ スーパーの持ち帰り寿司
     ※ 生ハムオニオン
     ※ あさり汁()
            何度ナンマンダブを繰り返そうが、やっぱりあさりは大好物。

   十三日()
     ※ 鰆の塩焼き(大根おろし、レモン)
     ※ 白菜と油揚の煮浸し
            私ゃ何かと油揚に頼っている気もするが、手軽にこくを出せるんで、
            常に冷凍ストックしてある。
     ※ ブロッコリーの胡麻だれ和え

   十四日()
     ※ 手羽先のグリル焼き(ピーマン、玉葱)
            醤油、酒、蜂蜜少々、潰し大蒜&生姜を合わせたたれに漬け置き、焼く。
            ついで仕事で縦半割りピーマンと輪切り玉葱も焼き、添える。
     ※ ツナのおろし和え(葱、胡麻)
     ※ ちくわ胡瓜
            ちくわの穴にスティック状の胡瓜を詰め、竹槍切りにした超簡単料理。
            何にでもマヨネーズをかけちゃう人の気持ちはさっぱりわからんが、
            生ちくわにマヨネーズをかけぬ人の気持ちもわからんと思わせる一品。
            このように、胡瓜と共に詰める屁理屈をも味わえる。

   十五日()
     ※ 焼塩鯖(大根おろし)
            塩鯖はダラ主婦の友、焼くだけで済む。
     ※ とろろめし(葱、もみ海苔、卵黄)
            態々このためだけに押し麦を買うのも何なので普通の白御飯にかけた。
     ※ 豚汁(豆腐、こんにゃく、里芋、大根、人参、牛蒡、葱)
            また牛蒡に手を出してしまった…今夜はたたき牛蒡でも作るか。
     ※ 胡瓜の即席漬け


献立を考えるのが面倒なとき役に立つんで、以前から簡単な覚え書きをつけてきた。
改めてここんとこのメニューを振り返ってみると、実に地味ってかさっぱりした食生活である。
伜がいたら大ブーイングだろうが、トシを取ると結局は和食に落ち着くのかもしれん。

それにしても、こんな記事に最後まで付き合って下さったあなたは神。

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行っちゃった

この間の土日で、伜を放り出した。

大学及び生協の諸手続きに始まり、現地でのアパート探しと決定、また、それに関連し、
水道光熱保険等の契約やら生活用品の準備やら、全て十日程の間に済ませねばならず、
普段の暮らしがダラなだけに、訳もわからず走っている、てな日々を送ったことである。

野郎一人の宿替えに引越し業者を頼むまでもなく、トラックをレンタルする予定だったが、
それを小耳に挟んだおとんの取引先の社長はんから、
「しょむない金を出さんでも、うちの1トン積みを使やええやないか。
 一昨春、孫がよその大学へ行ったときも、同じトラックで間に合わせたでー」
と、実に温かなお電話を頂戴し、ご好意に甘えて有難くお借りした。

丁度ETC割引の開始と重なったため、予想通りとは言ええらく移動に時間を食ってしまい、
土曜日は物を運び入れただけでカツカツ、まあ、現地で急ぎ調達せねばならん物も多いし、
こんなこともあろうかと格安の宿を予約しておいたので、久々に親子三人枕を並べ、寝た。
グースカ眠りこけている伜の顔が何故だかいつもより幼く見えて、真夜中にこっそり苦笑。

翌日。
簡素な部屋の体裁を曲がりなりにも整え終えたときには、既にとっぷりと暮れていた。
薄闇の降りてきたアパート前で、んじゃ、行くわな、とトラックに乗り込み、
「身体に気ぃつけて、まだ寒いよって油断したらあかんよ。
 あと、戸締まりと火の元は必ずチェックな」
くどくど言い置きつつ窓から手を振ったら、
「うん、ダーイジョブ、おれは“だいじの子ぉ”やでの。
 あんたらこそ気ぃつけて帰ってな」
おちゃらけた口調ながらもでら懐かしい台詞と共に見送りやがって、何も返せなくなった。
ここ数年はさすがに殊更口にすることもなかったが、小六くらいまでの頃は、
「○○くんは“だいじの子ぉ”や、健康と安全にはいっつも気ぃつけとらなあかん」
ってのが親子の合い言葉になっていたのである。
大通りへの角を曲がり、伜の姿が見えなくなるや、街灯も信号も、やたらぼんやりと霞んだ。


たった五日逢っていないだけなのに、どうもまずい、のをあある とをあある やわあ。
必要以上に他人と関わるのは御免、な巣籠り婆で、どんどん世間様から孤立していたが、
それでも不自由などさらさら感じなかったのは、伜がいたからかもしれんなあ、と、
今さらながら気付いたりして、要するに息子依存症ってやつだったのだろう、芯のとこじゃ。
けどま、いくらべったべたな感傷に浸ろうと、やっぱりものぐさな性格は変わらんわけで、
人交わりに興を覚えもせず、マイペースな生活を送っているんだが。

ただねえ…。
じきに慣れるとわかっちゃいても、あんたのいないこのうちは静かすぎるんだよ、にーちゃん。

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