さて、今年の大河『風林火山』も中盤にさしかかったが、実に面白い。
内野聖陽ってこんなにワイルドな男前だったかしらん、などという、
いかにもおばさんな感想はさておき、筋運びにべたついた無駄がなく、
凝縮された台詞でさまざまな人物の心理を立体的に織り上げている。
内野・勘助はむんと体臭まで漂ってきそうで文句のつけようがないし、
亀治郎・信玄もゆったりとした風格を感じさせる。
由布姫に柴本幸を抜擢したことも、まずは成功だったのではないか。
先述のように『風と雲と虹と』で準ヒロインだったお母さんの印象が強すぎ、
標準より当然美形であるにも関わらず厳しい目になってしまうのだが、
きりりとした気高さはなかなかのもの。
変に一般受けを狙って役柄に合わぬ人気女優を持ってくるより新鮮だ。
仲代・信虎、千葉・板垣のうまさは勿論、脇を固める役者もみな味がある。
河原村伝兵衛役の有薗芳記のように、ちょくちょく見る顔だが名は知らぬ、
そんな役者の活躍も何かしら嬉しいものだ。
芸歴や名の有無、役の軽重を問わずつい注目したくなる人が多く、
しかも全体の調和を乱すことなく溶け込んでいるため動体視力が鍛えられる。
また、後の高坂弾正・春日源五郎にいかにも美童顔の若手を起用するなど、
裏ネタも結構しゃらっと仕掛けられているようで細かな点まで気が抜けない。
どの作品にも言えることだが、かつての『武田信玄』を思い起こし、
両者の違いを楽しめるのも何だかお得、年寄りの特権だな。
宍戸錠演じた鬼美濃を息子の開が引き継いでいる、そんなことにさえニヤリ。
中井・信玄も初めのうちこそ腰の座らぬ二枚目兄さん風で、
ちょっとイメージに合わんかな、と思って観ていたのだが、
次第に陰鬱さをまといながらも意志を感じるような面構えとなってきて、
いつしか惹きこまれた。
何より、平幹二郎(信虎)と小川真由美(三条夫人侍女・八重)の怪演、
これを抜きにしては語れぬだろう。
平の粘っこい目と台詞回し、奸計を巡らす小川の白蛇を思わせる表情は、
時にうんざりするほど画面に奥行きをもたらしていた。
話は戻って。
ガクトがどう出てくるか、わくわくするような怖いような。
謙信自体結構トンデモな逸話が多く、人選はアリだと思うのだが。
ごちゃごちゃ想像するのも楽しみのうち、期待しよう。